どの国でも10%前後の人が難聴があると考えている中、これから日本はますます高齢化が進み、その割合が高くなることが予想されております。そのような中、両側難聴がある人は難聴がない人に比べて認知症になる確率が高く、難聴を放置すると認知機能が低下することが報告されております。
2015年1月に厚生労働省から「新オレンジプラン」という、認知症を予防する対策プランが公表され、その中で難聴は認知症の危険因子であると取り上げられました。そのため補聴器で認知症を予防できるかどうかの検討が世界で開始されております。
この様なことから最近補聴器への関心が高まり、補聴器を使用してみたい方が増えてきております。私の親族にも両側難聴で両耳に補聴器を使用している方がおります。その方は両耳で30万円以上する補聴器を購入されましたが、補聴器をつけても会話ができないと困っておられました。どうしてそのようなことが起こったのかを調べていく中で、店舗に1度くらいしか足を運ばず、あとは自宅に業者が出向いて、本人の自覚症状に合わせた調整を受けるという、補聴器の効果確認が十分でないまま購入されていたこと、購入した後に手間を惜しまず十分な調整を受けなかったことが原因と分かりました。その後当院で補聴器適合検査を行い、なんとか会話ができるようになりましたが、このように補聴器購入前の効果確認が十分でないままで購入したり、または補聴器購入後の調整を受けない方が多くおられます。その結果、「ないよりまし」だけど大して役に立たない、場合によっては「ない方がまし」な補聴器になっている方が決して少なくありません。中には効果がないといって、何台も高額な補聴器を購入されていらっしゃる方もおられます。
そこで当院では、補聴器購入前に十分な効果確認を行うことと、補聴器購入された後の補聴器調整に重点を置いて、補聴器を使って聞き取りをよくしたいと考えていらっしゃる方のために、耳鼻咽喉科医師と言語聴覚士と認定補聴器技能者が協力した補聴器適合検査を行なっております。
補聴器を使う前に、治療を優先すべき
耳の病気を見つけることが出来る。
補聴器購入に際しての失敗を少なくし、自分にあった補聴器を探すことが出来る。
元々補聴器をお持ちの場合、補聴器の状態を確認し、補聴器の再調整を行うことができる。
補聴器購入後も質の良い聞こえを保つために、耳垢の清掃など耳のメンテナンスと変化する聴力に合わせた補聴器の定期調整が出来る。
当院は医療機関のため保険の範囲内で治療を行いながら補聴器の調整をすることができます。そのため補聴器販売を目的としておらず、難聴があって補聴器を試したいという方へアドバイスを行い、気軽に補聴器を試すことが出来る。
必ずお電話でご予約お願いします。来院後「問診票」や「きこえの評価表」に必要事項を記入していただきます。
まず、聞き取りにくさの状況や耳鳴りの症状をお伺いします。耳垢などが詰まっていないか、外耳道・鼓膜などの診察を行なって、治療が必要な病気がないか診察します。そして「聴力検査」や「言葉の聞き取りの検査」や「耳鳴りの検査」や「鼓膜の動きをみる検査」などを行い、補聴器が必要かどうかを判断します。
補聴器を使用して効果があることが予想され、補聴器による改善の希望があれば、次回の補聴器診療の予約をしていただきます。また、障害者総合支援法等に規定される聴覚障害に相当し補聴器支援制度を利用できそうであればその説明をさせていただきます。
補聴器はメガネとは違い、聞き取るのに必要な音量を急に耳に入れると不快に感じ、補聴器を装用していられなくなります。そのため、最初はなんとか我慢できて、かつ効果を実感できる音量に調整するなど、補聴器をお貸出しする前にしっかりと調整を行う必要があります(調整には約1時間半ほどの時間がかかります)。
補聴器の使用状況や状態を確認し、約2週間に1回程度の通院による調整が必要になります。希望により他メーカーのものや、補聴器のタイプ、価格帯を変更して、別の機種をフィッティングしていただけます(貸し出し2回目以降は平均1時間ほどの時間がかかります)。
調整の結果、補聴器適合判定医が補聴器装用による効果が十分と判断し、ご本人が補聴器購入を希望されれば、機種を決定し担当業者より補聴器を購入していただきます。あまり効果を実感できない場合は補聴器を返却していただいて構いません。
少しでも長くお使いいただける様に、補聴器の使用状況や生活する上での問題を確認し、掃除や点検を行います。また時間が経過するにつれて、ご本人の聞こえ具合や補聴器の出力も変化する事がありますので、聴力検査をしたり、補聴器の特性を確認したり、状況に合わせた再調整を行うことが大切です。
当院は補聴器適合検査
実施可能施設です。
当院では県内でも大学などにしかない補聴器適合検査機器を導入しております。音声に対する補聴器の効果についてより実際的な評価とされる、国際音声試験信号(ISTS)を用いた補聴器測定を行い、また、補聴器から出た音がどのように鼓膜面上に届くのかを確認することで、効率的に各患者様に合った補聴器調整を行っております。
さらに補聴器を装用している状態と装用していない状態を視覚的に比較することが可能であり、分かりやすい説明に繋げております。
下記の質問項目にチェックを入れて「結果を見る」ボタンを押してください。
総得点が10点以上だと軽度・中等度の難聴に分類され、耳鼻咽喉科での難聴の評価を受けることが推奨されます。
24点以上の場合は高度難聴に分類されます。
「補聴器は高い。何十万円もするって聞くけど…。」と心配され、補聴器を試したいと言い出せない方も多くいらっしゃると思います。しかし、3万円前後の低価格帯のものから50万円ほどの高価なものまで、いくつも種類があります。補聴器は高ければよいというものではなく、補聴器適合検査などの手間はかかりますが、聴力に合ったものを選んで、調整を行うことが大切です。
補聴器1台の値段は、基本価格帯が4万円から9万円、普及価格帯が10万円〜19万円、高価格帯が20万円〜29万円、プレミアム価格帯が30万円以上となります。メーカーによっても変わってきますし、同じ価格帯だからといって性能が同じではありません。
なお、左右2台を一緒に買うと両耳価格として割引がある場合もあります。
当院の医師、言語聴覚士、認定補聴器技能者による補聴器診療は保険診療の範囲で行なっております。
補聴器を使用される方の難聴の程度や年齢などによっては行政から補助があります。ただし、身体障害者の基準は厳しく、相当に重度の難聴でないと該当しません。当院は身体障害者の指定医療機関であり、該当される方には申請書類をお作りしています。
難聴のため身体障害認定を受けられている方は、障害者総合支援法対象補聴器が支給されます。
※自己負担金が1割必要、ただし収入により負担額が変わる場合があり、高所得の場合には補助を受けられないこともあります。
※希望の補聴器との差額を自己負担で購入できる場合もあり、市町村に確認が必要です。
補聴器以外にも障害の等級によりファックスや屋内信号装置(振動や光で知らせる)などの支給も受けれます。また、小児に対しては補聴器用のFM送受信機も対象になり、市区町村ごとに独自の給付を行なっているところもあります。詳しくは地域の障害福祉課に問い合わせてください。
軽度・中等度難聴の小児における補聴器の重要性が認識され、ほとんどの自治体で小児・就学児への補聴器の助成が認められる様になりました。家族の収入などにより制限がありますので、詳細についてはお住いの市区町村の障害福祉課に問い合わせてみてください。
医療費がかかった場合に所得税から控除を受けられる医療費控除の対象になる可能性があります。医師や看護師さんの話を聞くことや、診察の順番が来た時に名前を呼ばれても聞こえないなどの問題があり、医療を受ける上で支障がある時には控除の対象になる可能性があります。その場合、所得が200万円以上の場合は、本人及び家族の医療費から10万円を差し引いた額の控除を受けられます。収入がそれ以下の場合には、かかった医療費から収入の5%を引いた額が医療費控除額となります。その際は、補聴器が必要であるという医師の診断書と補聴器の領収書をつけて確定申告をしてください。
耳鳴りは珍しい現象ではなく、人口のおよそ1割に、高齢者では3割近くの人が耳鳴りを感じているといわれています。
耳鳴りがあるからといってそれだけで異常なわけではありません。しかし、耳鳴りの原因として一番多いのは聴力が低下している場合で、中には脳や聴神経に腫瘍ができているなど怖い病気のこともあり、放置してよいかどうかは自分で判断せず、耳鼻咽喉科で診察を受けてください。
補聴器は、原因に難聴がある場合は耳鳴りを軽減する効果があると考えられております。また、難聴がない場合は適切な音を持続的に耳に入れることで耳鳴りを気にならないようにする音響療法が耳鳴りによる苦痛を軽減する効果があると考えられております。現在この音響療法も同時にできる補聴器が補聴器メーカー各社より販売されており、耳鳴りの治療に用いることが多くなっております。
しかし、これらの耳鳴りの治療は医療行為に当たるので、当院のような医療機関(耳鼻咽喉科)の管理下に行われる必要があり、補聴器販売店が独自に処方や調整することはできません。
完全予約制になりますので、電話(090-3418-8733)でのご予約をお願いします。
事前に確認が必要となりますが、現在、スターキー、ワイデックス、リオネット補聴器、ベルトーン(NJH)、オーティコン、リサウンド、シーメンス・シグニア補聴器、パナソニック、フォナックなど10社近くの調整が可能です。
認知症の程度によりますが、聴力検査が可能であり、ご本人やご家族など周囲の方が補聴器を必要とし、管理していただけるようでしたら、できるだけ対応させていただいます。事前の予約電話の際にご相談ください。
価格が高いものは確かに良い面も多いのですが、必ずしも価格に比例してそれだけ聞きやすくなるというものではありません。逆に、低価格のものは役に立たないというとそんなことはなく、安くても十分耳に合う場合もあります。また、片耳に高い補聴器をつけるより、両耳に安いものをつけたほうが聞きやすい場合もあります。
補聴器をつけても、初めから上手くいくとは限りません。慣れることが必要であり、補聴器をうまく使いこなして、よく聞き取れることを実感できるまでには、ある程度の期間が必要です。できるだけ安心して早く効果を実感できるように、当院では補聴器適合検査を行なっております。
補聴器をつけても聞き取りにくさは残っていますので、周りの人の協力が欠かせません。少しでも聞き取りやすくするために以下の点に注意してください。①顔を向けて話してください、②静かな環境で話してください、③近づいて話してください、④ゆっくりはっきりと話してください、⑤聞き分けにくい時は、言い直しや言い換えをしてください、⑥話始めに注意を促してください。
扱い方によって補聴器の寿命はずいぶん違ってきてしまいます。すぐに故障させてしまう方や10年以上にわたって上手く使っている人もいます。一般には、いろいろな部品の劣化が進むことや、扱う人の聴力が変化していくこと、さらに新しい補聴器が出てくることもふまえて、5年程度を目安と考えてください。できるだけ補聴器の寿命を伸ばすためにも、当院や補聴器店での定期的なメンテナンスを受けることをお勧めします。
電池切れか、電池接点の曲がりか、配線不良の可能性があります。まずは一度電池交換をしてみてください。それでもダメなときは、当院か、担当の認定補聴器技能者にご連絡ください。
電池の消耗や電池接点の汚れや補聴器の音の出口が耳垢などで詰まったなどの可能性がありますので、当院か、担当の認定補聴器技能者にご連絡ください。
電池の消耗や電池接点の汚れや補聴器調整上の問題や補聴器内部の問題の可能性がありますので、当院か、担当の認定補聴器技能者にご連絡ください。
ハウリングという、補聴器から出る音をまた拾ってしまうことで起こる現象です。耳に上手く補聴器がはまっているかどうかチェックしていただき、それでも改善がなければ、当院か、担当の認定補聴器技能者にご相談ください。
メーカーによってできることは違いますが、①電話の声を周囲の雑音に邪魔されずに聞き取る機能、②音楽やスマホアプリの音を聞き取る機能、③補聴器を調整するリモコン機能、④補聴器を探すことができる機能、⑤話し手にスマホを持ってもらい声を聞き取りやすくする機能などがあります。
現在のところ、必ずしも充電電池の方が経済的というわけではではありません。充電式補聴器は通常の補聴器よりも価格が高く設定されています。また充電器の費用も別途かかります。現時点では補聴器単独で使う場合には、一般的な空気亜鉛電池の方が経済的と思われます。ご希望の際はご相談ください。
※参考資料;新田清一ら「ゼロから始める補聴器診療」、関谷芳正「よく分かる補聴器選び」、Harvey Dillon 「補聴器ハンドブック原著第2版」
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