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新しい補聴器「軟骨伝導補聴器」のご紹介
補聴器といえば、耳にかけたり耳の中に入れたりする「気導補聴器」が一般的ですが、近年、新しい技術を使った補聴器が登場しています。それが「軟骨伝導補聴器」です。今回は、2023年に発表された、奈良県立医科大学耳鼻咽喉・頭頚部外科の西村忠己先生による論文を基に、この軟骨伝導補聴器の特徴やメリットについてご紹介します。
軟骨伝導補聴器とは?
軟骨伝導補聴器は、耳の軟骨部分に振動を与えることで音を伝える新しいタイプの補聴器です。耳軟骨に小さな振動子を装着すると、振動子による<①振動が直接鼓膜を経由(直接気導経路)、②軟骨の振動で外耳道内に音が生成され、それが鼓膜を経由(軟骨気導経路)、③軟骨の振動が頭蓋骨を経由(軟骨骨導経路)>3つの音の伝導経路を介して、音を内耳に伝えます。これにより、従来の補聴器とは異なる方法で音を届けることができ、外耳道(耳の穴)が閉鎖されている方や、耳漏がある方にも適しています。
どんな方におすすめ?
軟骨伝導補聴器は、特に以下のような症状の方に有効とされています。
- 外耳道閉鎖症(がいじどうへいさしょう):耳の穴が生まれつき狭い、または塞がっている方
- 耳漏(じろう):慢性的な耳だれが続き、通常の補聴器を使いにくい方
- その他、従来の気導補聴器では十分な効果が得られなかった方
これまでの補聴器が合わなかった方でも、この新しい技術によって、より良い聴こえが期待できる可能性があります。
軟骨伝導補聴器のメリット
軟骨伝導補聴器には、以下のようなメリットがあります。
- 耳道を塞がない:耳の軟骨を使って音を伝えるので、耳の穴を塞ぐことなく、快適に装用できます。
- 軽くて目立たない:振動子が小さく、耳にかける部分もコンパクトなため、見た目にほとんど気づかれません。
- 高い適応性:耳漏がある方や、外耳道に問題がある方にも対応可能です。
- 簡単に試すことができる:外科的な処置が必要なく、効果が期待できない場合は簡単に使用を中止することができます。
補聴器の新しい選択肢軟骨伝導補聴器は、気導補聴器や骨導補聴器とは異なるアプローチで、聴こえをサポートします。特に外耳道に問題がある方にとっては、これまでにない選択肢となるでしょう。補聴器選びに悩んでいる方は、ぜひ一度当クリニックでご相談ください。
当クリニックでは、実際に試聴いただくことができるほか、専門のスタッフが丁寧にフィッティングを行います。
参考文献
西村忠己. 軟骨伝導補聴器の適応疾患と適応聴力. 日耳鼻, 126巻, 1-6ページ, 2023. -
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