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記事詳細
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)〜出席停止期間と家での注意点と予防接種について〜
「おたふくかぜ」とも呼ばれる流行性耳下腺炎は、
耳下腺などの唾液腺が腫れ(一般に48時間以内にピーク)、痛みと発熱を伴う感染症です。
通常は1〜2週間で治りますが、
合併症として
無菌性髄膜炎(最も多く、1〜2%が入院が必要となる。)や
高度難聴(0.1〜0.4%ほど)や
脳炎(0.02〜0.3%ほど。頭痛や意識障害やけいれんが症状)や、
精巣炎(思春期以降の男性の約15〜20%に合併)
卵巣炎・乳腺炎(思春期以降の女性で約5%)
などの危険性のある疾患です。
幼児や児童で感染者が多く(6歳未満で6割、10歳未満で9割)、
小学校や幼稚園、保育所でしばしば集団発生(約4年周期で大きな流行)があります。
治療としては、特異的な治療方法はなく、基本的には症状を和らげる治療となります。
効果的に予防するにはワクチンが唯一の方法です。予防ワクチンはありますが、定期接種となっていないため(先進国で日本だけ)、接種率は低いです。
1、出席停止期間について
一般に「耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫れが現れてから、5日間を経過して全身状態が良くなるまでです。」(学校保健安全法より)
体調が良くなるまでは、外出は避けるようにしてください。
2、家での注意点
合併する病気(髄膜炎、高度難聴など)がありますので、下記の症状がある時は必ず診察を受けるようにしてください。
ア、突然聴こえなくなった(片耳の場合が多いので、耳元のところで指擦りをしてみてください。)
イ、子供がテレビに近づき片耳を寄せて聞いている
ウ、ひどい頭痛、発熱、嘔吐、下痢、けいれんなどの症状がある。
エ、熱が5日以上続いて治らない。
オ、男性では睾丸の痛み、女性では下腹部痛がある。
3、予防接種について
集団生活に入る前に2回接種することが望ましいと考えられております(効果は90%前後)。
患者さんと接触当日に、予防策としてワクチン接種を行っても、発症を予防することは困難と考えられております。
<予防接種の問題点>
1989年に麻疹、風疹、おたふく風邪三種混合ワクチン(MMR)として定期接種になりました。しかし、ワクチン接種後の無菌性髄膜炎の多発が社会問題となり、1993年からMMRワクチンの接種は中止されております。その後の調査で、ワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発症(約0.05%)は、おたふくかぜ感染後の無菌性髄膜炎の発症(約1〜2%)に比べて大変少ないことがわかりました。世界のほとんどの国でMMRワクチンの2回接種(110カ国)が行われておりますが、我が国においてMMRワクチンがふたたび採用される目処はまだたっていないようです。
ご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。
(参考文献:岡藤輝夫:【VPDを制御するためのわが国の課題】 流行性耳下腺炎(解説/特集). 綜合臨床 (0371-1900)60巻11号 :2241-2245,2011.、岡田晴恵(2015)「学校の感染症対策」(東山書房)など)
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