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新型コロナウイルスの伝搬様式について
【感染経路】
飛沫感染が主体と考えられ,換気の悪い環境では,咳やくしゃみなどがなくても感染すると考えられます。また,ウイルスを含む飛沫などによって汚染された表面からの接触感染もあると考えられます。有症者が感染伝播の主体であるが,発症前の潜伏期にある感染者を含む無症状病原体保有者からの感染リスクもあります。
【エアロゾル感染】
エアロゾル感染は厳密な定義がない状況ですが,SARS-CoV-2 は密閉された空間において短距離でのエアロゾル感染を示唆する報告があります。エアロゾル感染の流行への影響は明らかではありません。患者病室などの空間から培養可能なウイルスが検出された報告がある一方,空気予防策なしに診療を行った医療従事者への二次感染がなかったとする報告もああります。
また,再生産数(疫学において感染症に感染した1人の感染者が誰も免疫を持たない集団に加わったとき、平均して何人に直接感染させるかという人数)が2.5 程度と,麻疹など他のエアロゾル感染する疾患と比較して低いことなどから,現在の流行における主な感染経路であるとは評価されていません。医療機関では,少なくともエアロゾルを発生する処置が行われる場合には,空気予防策が推奨されます。
【潜伏期・感染可能期間】
潜伏期は1 ~ 14 日間であり,曝露から5 日程度で発症することが多いと報告されています(WHO)。ただ発症前から感染性があり, 発症から間もない時期の感染性が高いことが市中感染の原因となっており, SARS やMERS と異なる特徴です。
SARS-CoV-2 は上気道と下気道で増殖していると考えられ,重症例ではウイルス量が多く,排泄期間も長い傾向にあります。発症から3~4週間,病原体遺伝子が検出されることはまれではありません。ただし, 病原体遺伝子が検出されることと感染性があることは同義ではありません。 感染可能期間は発症2 日前から発症後7 ~ 10 日間程度(積極的疫学調査では隔離されるまで)と考えられています。なお,血液,尿,便から感染性のあるSARS-CoV-2 を検出することはまれです。
【季節性】
コロナウイルス感染症は一般に温帯では冬季に流行するが,COVID-19 にも当てはまるか不明です。
(引用:新型コロナウイルス感染症診療の手引き第3版2020) -
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